曜変天目茶碗に酔う

ドゥオウモ。マントラプリです。昨日は大阪の藤田美術館曜変天目茶碗を見に行きました。藤田といってもギャラリーフェイクのフジタがやってる画廊とは何の関係もありませんのでお間違いのなきよう。
藤田美術館は旧男爵家の藤田伝三郎と長男・平太郎、次男・徳二郎の三人が集めたコレクションを中心に展示している私設美術館です。この一族三人によって収集されるという形式は、三菱財閥の一族である岩崎弥太郎、久弥、小弥太三人によって集められた静嘉堂文庫と共通しますね。
そしてもう一つ共通する点。そう、この二つの美術館は全世界に三つしか現存していない曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)を所有しているのです。そう中国・南宋時代に作られた現代の技術でも再現不可能な至高の茶碗です。残りの一つは京都・大徳寺*1塔頭龍光院が所有しており、世界に現存する三つの全てが日本に伝来していることになります。むろんすべて国宝です。
この茶碗のすばらしいところ。それは曜変(ようへん)の名が示すように、椀の内側が七色の光を発するところです。漆黒の闇に包まれた椀が斑紋の揺らめきと共に七色の光を発する。この美しさは言葉では語りきれません。見たものにしか分かりません。やーいやーい、いいだろー。チョーキレーだったぜーえっへっへへっへっ。六月三日までしかやってないから、早く行かないともう数年は見れなくなっちゃうぞーだ。
などと、子供っぽい物言いはしません。紳士ですから、ボク。
ちなみにボクは三椀全て見ました。やーい、いいだろーいいだろー。龍光院のなんかは大徳寺の虫干しでも見れねえぞー。東京国立博物館の「国宝展」でたまたま出ていたものの、普段はお目にかかれねーだろーなー。へっへっへ、いいだろーいいだろー。
…子供ですから、ボク。
で、この天目茶碗ですが室町時代に相阿弥によって書かれた「君台観左右帳記」には数種類の天目茶碗が紹介されています。その中でも曜変天目は「無上也」と評され値段は「万疋」とされています。これに続くナンバー2の油滴天目茶碗(椀の内側が油の飛沫のように銀色に光る。藤田美術館の近くにある東洋陶磁美術館に国宝がある)でさえ「五千疋」と、半額以上に価値は下がってくるのです。曜変天目茶碗の孤高の美しさがうかがえます。
侘び茶以降はその身が発するあまりにもあまりな美しさから、茶道具としては好かれなかった様です。しかし陶磁の王を挙げよと言われれば、まごうことなく曜変天目茶碗を私は挙げます。六月三日までの公開ですので興味のある方は是非、下のホームページまでアクセス。
http://www.city.okayama.okayama.jp/museum/fujita/
他の天目茶碗も一堂に会します。天目茶碗の美しさに触れるいい機会になると思います。

*1:ガン道を極めたタクアン和尚がいる寺

その後に上本町の立ち飲みバーで友人の悪鬼くんとちびりちびり飲みました。そこで飲んだウィスキーが、コレ。
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ハーイ。こちらはアイランズモルトのハイランドパーク12年。アイランズモルトとはアイラ島以外のスコットランドの島々で作られるウィスキーを指す言葉です。「アイランズ」。和訳するとは「島々」ってことね。このハイランドパークが作られているのはオークニー諸島になります。ここはスコットランドで最も北に位置する蒸留所です。創業は1798年。今から200年以上昔の話です。
このハイランドパーク。前回紹介したカティサークの原料の一部としても使われています。
カティサークはブレンデッドウィスキー。ハイランドパークはシングルモルトウィスキーです。この違いはブレンデッドが多種類のモルトウィスキーをブレンドし、かつグレーンを混ぜるのに対し、シングルモルトは一つの蒸留所で作ったウィスキーのみでブレンドを行って作っている点にあります。
肝心の味ですが口に含んだとたん煙がもわっと広がるように、口の中をスモーキー臭が支配していきます。しかしこのいぶしたカンジがしつこくなく、僕的にはすごく好みです。後味はピーナッツ風味です。といってもべたべたな甘さではないです、余韻がほわっと残る程度。グレーンウィスキーにはこのピーナッツ余韻がついて回りますね。(もっといい表現の仕方があるんだろうけど、僕知らない)、トウモロコシを主原料とするバーボンになってくると、このピーナッツとは違った感覚がありますが、それはまた今度。