妹尾あいこに見る”強さ”

金曜日に見過ごしたおジャ魔女どれみ(無印)第3話「転校生はなにわっ子」見ました。この回から登場するのが妹尾あいこです。彼女を演じた松岡由貴さんはこの作品に出会えたことで声優を続けていく気持ちになった、と述べています。「「どれみ」がなければちゅるやさんも誕生することがなかったかも」と考えると感慨深いものがありますね、めがっさ

「私の名前は、妹の尻尾と書いて妹尾。妹尾あいこっ!大阪の天下茶屋ぁいう所から引っ越して来てん!!」

おジャ魔女どれみ(1) [DVD]

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妹尾あいこは大阪は天下茶屋出身の生粋のなにわっ子。ノリもボケもツッコミも標準装備の関西人。
独特の関西ノリで序盤から飛ばしているあいこに、最初のうちはどれみもはづきも距離を置いていました。どれみはその理由として、
・男の子と馴れ馴れしい
・人の気持ちを考えない
・思ったことをズケズケ言う
・見え見えのおべんちゃらを言う
等を挙げています。あいこの大っぴらに目立つ行動がどれみには鼻についたようです。後に聖人君子の如くなるどれみも、この頃はまだまだひよっ子。人を初対面の印象で判断して偏見を抱く、我々とまったく変わらない女の子でした。
しかしあいこの家庭でたこ焼きをご馳走になったり、片親であるあいこの身の上を知るうちにどれみは気づきます。あいこの積極的な行動は彼女の「強さ」ゆえに出ているものなのだと。
そう、あいこは父親に余計な心配をかけないため、早く学校に馴染もうと積極的に行動していたのです。半ば意識的に、そして無意識的に。どれみたちが鼻についた部分。それは父に心配をかけまいとして自然にこれらの行動を選択するあいこの「強さ」なのです。彼女は自分が片親であることも、母親が出て行ったことも平然とどれみに語ります。表面的には。
そう、あいこの「強さ」は殻で自らを覆う頑なな「強さ」です。柳のように受け流す性質の「強さ」ではないのです。そう、硬い殻で覆われた強さは、同時に一度砕ければ粉々になってしまう脆さを内包しています。その点も含めてどれみはあいこに言います「あいちゃんは偉い」と。その脆さが表れるのが授業参観です。あいこは父親の仕事に支障をきたさないようにそのことを伝えていませんでした。自分の中で抱え込み、自分の力で解決しようとする。内側に抱え込まれた自分の思いを押しつぶしてでも…。それがあいこの強さ、そして脆さです。
どれみはあいこの父を授業参観に出席させようと奮闘します。魔法での努力は無駄足に終わりましたが、どれみの思いは通じ、あいこと父親の橋渡しをすることができました。感極まってあいこは泣き出します。そう、今まで張り詰めていた殻が破れ、脆いあいこが表に出るのです。
「…なんで、何で涙がでるん?…もぅ、ワケ、わからへん。でも、めっちゃウレシイ!!」
泣き笑いであいこが漏らした言葉。それはあいこの頑なさが一つ解れた瞬間です。同時にわたしのおジャ魔女フリークが始まった瞬間でもありました。これ以降四年をかけてあいこは学んでいきます。強さと頑なさの違いを。そして「素直な気持ちになる」方法を。