華厳経
いちの中にひゃくせんまんおくがあり、
ひゃくせんまんおくの中に、一がある。
ならば知れ。
この小刀のきっさきの、
その先端の、さきのさき。
ひゃくせんまんおくのなかのいちの、
そのなかのひゃくせんまんおくの、
さらにそのなかの、
中の、
なかの、
中のなか。
そこまでいけば、
そこから見れば、
きっとこの世は
きりとりほうだい。
どうも蓋
心は掛かるこの蓋よりぞ、
溢れ出もすれ、締まりもすれ。
なら常在の心は何処?
滔滔垂れ溢る情なりや、
きりりと締める我なりや。
有情非情も共に情、
ここにありてやここになし、
ああ、蓋。ああ蓋よ。
君のみが常に隣り合う、
君のみが情の可触民。
どうも、蓋。
しかり、蓋。
君こそが、あに、心ならんや。