「ドイッチェラント、ドイッチェラント、ユーバアーレス、ユーバァアーレッサインデアヴェルト!」
つーことで前回の続きです。嘆きの天使

嘆きの天使(トールケース) [DVD]

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エミール・ヤニングスが必死になっているその時、彗星のように現れたのがマレーネ・ディートリッヒその人。彼女、つい最近まで生きていたのですが、訪日したのは大阪万博のときぐらいですね。万博の目玉イベントの一つでもありました。彼女。本格的に主役に抜擢されたのは本作からで、実は結構年を食っていました。(おっと失礼、下世話な言い方)しかも子供もいました。しかし、彼女の魅力はそういったアイドルの足を引っ張る要素に流されるものではありません。独自の気だるさと、何者にも媚を売らない目。そして掴みづらい姿。常に煙草の煙の中に霞みつ、立つのがマレーネ・ディートリッヒその人だと私は考えます。それに加え、世界を騒然とさせたのが「嘆きの天使」の中で彼女が披露した「100万$の脚線美」。ディートリッヒの前に足はなく、ディートリッヒの後に足は無しです。(おっと失礼、下世話な言い方2)
そんな彼女の雰囲気はエミール・ヤニングスを踏み台にしてしまいました。彼が必死になって「演劇」をすればするほど、ディートリッヒの美しさが際立つという皮肉な結果です。しかし、彼女はその後ドイツ映画界の看板役者になることはりませんでした。この映画の公開と同時に彼女は活動の場所をハリウッドに移したのです。そして「モロッコ」で男装の麗人としての美しいショーを披露するのですが、それは本コーナーとは別のお話。私は「モロッコ」のディートリッヒが一番好きです。
そういうわけで本作は戦前ドイツ映画におけるマレーネ・ディートリッヒの、最初にして最後の主演作*1となったのです。

*1:・・・厳密にはヤニングスだが・・・。まあいいや