今日はこのコーナー始まって以来の著作紹介です。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

はぃ。往年の推理小説の名作ですね。この作品、後の作品につながる要素が多すぎて語りきれません。なんで私の通例として羅列させていただきます。
Ⅰ 閉じ込められシチュエーション(絶海の孤島、雪山)のはしり
Ⅱ 複数キャラクターモノで主役がはっきりしない(清涼院流水西尾維新路線のはしり)
Ⅲ 童謡になぞらえた見立て殺人のはしり(日本でも金田一シリーズの悪魔の手毬歌なんかにこの手法は生かされます)
Ⅳ もじり偽名もののはしり(U.N.オーエンは彼女なのか)
Ⅴ 「お前らなんか信用できるか!俺は自分の部屋にいる!!」の死亡フラグのはしり

以上三点です。皆さんが言いたくてうずうずしているであろう「結末、犯人が衝撃的」に関してはポーによる世界初の探偵モノ「モルグ街の殺人」の類人猿がすでにやってくれちゃってますので、入れませんでした。
こうしてみると金田一少年やらコナソやらの漫画推理小説のシチュエーションものはすべてここに端を発しているような気がしてきました。一番目立つキャラから殺していくこととかも含めてね。一時期話題になりました決断主義というアニメや漫画での内ゲバや味方がボロボロ死んでいくことを指す概念がありましたが、私はああいう流れの源流はクローズドサークル推理小説が漫画に輸入されたことに端を発していると考えています。となると、その源流もこの作品に見出せるやもしれません。