サンデーの問題

雷句誠が小学館を提訴まとめ 雷句誠の小学館提訴に対する各所の反応まとめ
うーん。担当編集者とマンガ家のパイプが密になることの功罪であるなぁ。公の場でマンガ家と編集者の打ち合わせはされないだろうし、当然のことながら議事録なんかない。その結果、マンガ家擁護側は「全て事実」と受け取るし、編集者側は「マンガ家の被害妄想」「お互いの個性の衝突を悪意に受け取られた」とする。
日本のマンガ史は編集者との二人三脚無しには語れない。なんで、出版社や編集の圧力という拘束力を一切取り払った作家の「自由」な「個性」が本当にヒット作に繋がるか、というのもまた疑問なんだけども。70年代に確立して、以後スタンダードになった作家の出版社専属制度については見直さなきゃいけないところに来ていると思う。
映画界のように、「黒部の太陽」やって五社協定(出版社専属制)打ち破って70年代以前のフリー契約制に戻すしか、ないのかねぇ?宮原氏が主張するように。
[rakuten:book:11558639:detail]
でもそうなったらなったで、三船プロとか石原プロみたいに、漫画家が漫画家を抱える「会社制」「芸能スタジオ制」に近づいていくだろうしなぁ…。映画会社抱えの大部屋俳優が食べていくことが出来なくなったように、アシスタントとしてどの「マンガ家」に属するかで以後の人生が決められるってのも、なぁ…。
それとも、マンガ家で積み立てて、「労組」でも作るしかないんかなぁ。アニメ界で芦田豊雄がやってるみたく。でも、利益の配分とかで空中分解しそうな気もするし、累進課税的に組合費やら、漫画家共済金を取るとしたら稼ぎ頭の漫画家からすれば「他の人間に足を引っ張られているような気分」になるだろうなぁ。「自営」業だし。よっぽどしっかりした人に運営任せないと破綻しそうだ。
まてよ、大学でマンガ学科が増えてるんだから、そこで研究室を増設するように卒業生マンガ家と卒業生原作者を教授、アシスタントを院生のような位置づけにして、大学がマンガの版権を管理して、それを研究室に還元するという方法もありですね。イヤなアカデミズムだなぁ。でも今回のような事態で本人が交渉の矢面に立たないで済むだろうし、資料探しや裏付け、取材も関係機関に話を通すのがスムーズに出来そう。休載期は今までの蓄積で大学から給料も入ったり、授業料で糊口を凌ぐ手もある。ただし、実質の売り上げは中間搾取されまくるし、マンガの売り上げ、講師としての素質、両方振るわなければ首になる可能性が、高い。
いずれにせよ、マンガ界の日本的徒弟制は、模索せねばならんときに来ていると思う。