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2面ボス・水橋パルスィです。パルスィはペルシア人と同義です。ちなみにパールーシーと言うとゾロアスター教徒のことになります。で、このパルスィ。「橋姫」という橋の女神をモチーフとしております。この名前や服装だけ見ていると日本民話をモチーフにしていると思われますが、本作中のパチュリーと魔理沙の会話にペルシアが出てきたことや、格好がペルシアの民族衣装に類似することから、そのモチーフの大まかな部分はペルシア神話・わけてもゾロアスター教に依拠すると思われます。
パルスィのスペルカードには花さか爺さんや、舌切り雀など、日本民話をモチーフにしたものが見られます。このいずれの神話も善い爺さん、悪い爺さん。善い爺さん、悪い婆さんというように登場キャラクターの善悪がオルタナティブに分かれます。そして水橋パルスィは「悪」とされたほうに加担して、「善」へと嫉妬の目を向けます。民話の登場キャラが体現する両極に振れる「善悪」。かれらは最初から「善い」じいさん、「悪い」爺さんと二元論的に語られます。この「善悪二元」論は一神教の専売特許ですが、その源流は善・アフラマズダ。悪・アーリマンに世界を区分するゾロアスター教にあります。
ゾロアスター教において、あらゆる概念、生物、性質は善悪に区分されます。この弁別は聖典「アヴェスター」にも区分されています。しかし人間の場合、アフラマズダに属する善の人間と、アーリマンに属する悪の人間の二種類が存在し、その区分は死後、チンワト橋において行われる裁定によって決定されます。このチンワト橋こそがパルスィの「橋」なのではないでしょうか?
そう考えるとチンワト橋と同じ死者の裁定の場である三途の川が思い出されます。三途の川をわたる段階で死者の罪を判断するのは脱衣婆です。そして中世以降の脱衣婆の彫刻は小野小町としばし混同されます。小野小町といえば小野塚小町。
水橋パルスィは小野塚小町と共通する冥土の河に生息する属性をもったキャラクターといえるでしょう。
そうなってくると気になることがあります。小野塚小町がでてくる「東方花映塚」における幻想郷の冥府の裁量者は四季映姫(しきえいき)です。ヤマ・ザナドゥです。ヒンドゥ教、および仏教の最初の人間にして閻魔ですね。一方のゾロアスター教における閻魔はイマ(ジャムシード)という名で人類原初の王の一人にして黄金王です。彼は長い治世の末、アルスラーン戦記*1でおなじみザッハーク(ダハーカ)に殺され、バラバラにされるのです。
幻想郷(ザナドゥ)の裁量者である四季映姫に対して、魑魅魍魎の跋扈する地底の裁量者は何者なのでしょう?イマは自身の統治において地上を何倍もの大きさにしたという説話があります。それが「地底」への進出を意味するとすれば…。
6面かEXボスにヤマ・サブタレイニアンないしはヤマ・ゲニウス(地霊の閻魔)として「イマ」が出てくるのを、密かにmantrapriは期待しております。
<参考>
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*1:そういえばアノ世界も「パルス」よのぅ