犬の忠義

犬は忠義の動物で、
猫は暢気の動物で、
ヒトは己の断片を、
彼らの中に垣間見る。

而るに犬は、かの犬は忠義に生きると言えるのか。
犬は忠義を成すにあらず。忠義のみしか知らぬのだ。
忠義のベン図に覆われた、彼らの忠義は己に不可知。
性(さが)よりなお深き原理。細胞の歯車を、我らは彼らに見い出せど、彼らの知覚には、何の意味もない。
ヒトより、上の存在が、オーバーロードが、我らを見たときには、我らが犬を見るごとく、己の欠片を見遣るだろう。
だが、ヒトは、その中いる、ヒトは。
永遠に、気付かない。
永遠に、見れない。
犬の忠義の如くに。


そんなことを考えると、少し嬉しくなります。