テーマ一「仮面ライダー必殺技の型と変遷」

第三講 「仮面ライダーV3と技パターンの多様性」
V3は仮面ライダーの流れをそのまま踏襲した、カオス期の亜流といえる。最初の敵・ハサミジャガーへの技がV3回転ダブルキックといういきなりはっちゃけた技名からもそのことが実証されよう。必殺技ただし決定的な相違は一号、二号ライダーのライダーキックに当たるV3キックの地位が相対的に低いという点である。スプレーネズミやクサリガマテントウ、カタツブラーなど、わずかな怪人にすら必殺技として使われず、まさに最大与党となる技がない混沌とした状態がV3期における必殺技の特徴となっている。このような流れの中でも二つの与党が存在するV3反転キックV3きりもみキックがそれである。この体制がはっきり出てくるのは二クール前後で、この二つの技が乱世と化したV3の必殺技の中でも頭ひとつ抜きん出ている。そして、この二つの技を以後の特撮史に燦然と輝くものにしたのが敵幹部・ドクトルGへのとどめとして使用されたV3きりもみ反転キック、である。この技はきりもみキックと反転キックを同時に繰り出す豪華なもので、ドクトルGとの決戦への過程を四話にわたって盛り上げたということと、後ろで流れるライダー賛歌のメロディの秀逸さも含めて仮面ライダー史上一のベストバウトに推するぐらいの見事なものである。そしてこの決戦の前後に二代与党に加わってくるのがV3フル回転キック(回転フルキックということもある)である。最終回・ヨロイ元帥へのとどめに使われたことから、安定したポジションを保ち続けるこの技もV3を語るのに欠かせないものといえよう。そしてこの流れは時を越えスーパー1に受け継がれることとなる。と同時に仮面ライダーの技数もここから安定期に入るのだ。次回X、アマゾン、ストロンガーの安定期を通覧したい。