カリガリ博士 [DVD]

カリガリ博士 [DVD]

ドイツ表現主義映画の傑作といったらこれでしょう。タイトルのカリガリガリガリと呼んではいけません。いがぐり頭のソーダーになってしまいます。当初はフリッツ・ラング*1が監督になるという話があったとか、なかったとか。これは病院の患者の話から始まる、怪しき怪人・カリガリ博士(ヴェルナー・クラウス)と彼に操られる眠り男・チェーザレ(コンラート・ファイト)の引き起こす事件についての物語です。この映画は大半がセットで撮影されたのですが、その表現主義的な舞台芸術は今見ても、いや、今ではスポンサーのなり手がないであろうほど前衛的、実験的です。そして、ネタばらしになりますので伏せますがあっと驚く(というかあっけにとられる)結末は日本で上映されるや否や、各層に影響を与えました。
夢野久作*2もその影響をこうむった一人で、畢生の名作ドグラマグラ入れ子構造はここに着想を取ったとも考えられます。まあ、デビュー作からこんな感じだったので一概に言えないですが、少なくとも正木博士の九州大学(当時は帝大)での実験風景はここから影響を受けているかと思われます。
で、ドグラマグラから影響を受けたと思われるのが怪魔異星獣ドグマログマです。この怪人によって自在に作り出されるクローンは、ドグラマグラの実験室と同じように遺伝操作によって人間の自己の存在の確信へと疑惑を投げかけるのです。ウソです。

*1:メトロポリスやスピオーネの監督。微妙に日本好き・・・なのか、作中には切腹シーンや芸者シーンがまま出てくる

*2:北九州をフィールドにする作家。オヤジは玄洋社の大物