清貧

最近、というか大分前からとみに言われることですが、経済発展が下り坂のこの時期になって、これまでのエコノミックアニマルっぷりに対する反省の結果、清貧が唱えられるようになっています。そう、昔の日本は貧しかった。貧しいなりに精神的に豊かな生活が出来ていた、助けあいが出来ていた、と。
だけど、私としては了承し難い部分があります。確かに周り近所との付き合いに大きく清貧が関わり、それが共同体という名の幸福を与えていたのは確です。しかし忘れてはいけません。清貧の時代には必ず身分があったのです。今のようなぬるいものではなく、目の前で見せ付けられる露骨な序列があったのです。助けあいとは完全な平等が産み出すのではなく、はっきりした役割分担、権力分化が生み出すものなのです。
清貧を唱える上で身分制度や階級社会に考察を及ぼさないのは片手落ちと言えましょう。今の格差社会はエコノミックアニマルへの反省の上に生み出されつつあることも。