本当でもなんでもなくただただ恐ろしいグリム童話

完訳 グリム童話集〈1〉 (岩波文庫)

完訳 グリム童話集〈1〉 (岩波文庫)

最近巷では「本当は恐ろしいグリム童話」なんかが流行っています。しかし「本当は」などとわざわざ断りを入れる必要はありません。童話というものは最初から狂っています。魚が話しかけてきたり、小人や巨人が跋扈する暗黒世界ですよ、奥さん。舞台背景からして、常人が入り込んだならば一日とて正常でいれなくなる魔界です。継母を焼き殺したりするのも日常茶飯事です。白雪姫以外にもあまりにこの手の話がゴロゴロあるので、もはや食傷気味です。コレと現実の区別がつかなくなったらそれこそ地獄
そんな冥府魔道*1・グリムワールドにも一定の法則があることを発見しました。それは『男と女で虐殺の方法が違う』ということです。男の場合は(これは王さまが多いのですが)ある日急に「今度の子供が娘だったら、今まで生まれた十二人の息子は皆殺しにする」といった唐突、かつ理由なき暴走が大抵です。また本人にやるきがなくても女房にそそのかされいやいや実行する腰抜け風虐殺が主なものとなります。だから最終的に罰せられるものが少ないです。一方女性は確信犯的に犯罪に及ぶケースが大半です。男みたいに気まぐれでなく、しかも確実に仕留めようとあらゆるスキルを駆使します。その反面、必ずといっていいほど復讐されるのもまた女。剣を内側に仕込んだ樽に入れられ、親子もろとも川へ投げ込まれる継母や、焼き殺される継母、ボロ船で沖に流される姫など、ありとあらゆる処刑テクニックが女性には駆使されます。さながら殺人博物館、必殺シリーズの世界です。
ですので健全なる奥様方、お子様には是非グリム童話を買い与え「生きることは厳しいことと知りなさい」(byシャクティ・カリン)という教訓を上層意識に叩っこみましょう。ヌルく薄められた絵本版など買い与えてはイケマセン。

*1:子連れ狼で拝一刀がさすらっている世界。まだ子供がいるだけいいじゃねえか