・・・ああん?まさかこれで終わりだと思ったわけじゃあるまいね。カウントダウン期間のコーナーはひとつではないのです。えっとこのコーナーも半年ぶりなのでおっかなびっくりですが、まあがんばります。今回のテーマは「ホラーになりえる怪獣の大きさはどれくらいまでか」です。
ホラーものの怪獣といえば半魚人や狼男なんかが老舗です。しかし彼らは等身大であって決してゴジラのように巨大化したりはしません。いや、巨大化するやつもいますけど、そうなるとホラー映画に分類されなくなってしまいます。なぜでしょう?この疑問を解く鍵は「ホラーとは視聴者の恐怖が主体であって、画面の中の人の恐怖は主体たり得ない」ということにあります。暗闇の中でジェイソンから逃げるのも、公衆の往来する町でゴジラから逃げるのも、当事者にとって恐怖の質は変わりません。どちらも心臓がばくばくするほどの大ぴんちです。しかし視聴者にとってはどこから見てもわかる図体のでかい奴がノシノシ来るより、等身大の人間が物陰から唐突に現れるほうが恐怖の度合いは高いのです。すなわち視聴者視点で物語は作られるわけであり、その際恐怖を与えるのは現実味があり、かつどこから出てくるのかわからない等身大の生物なのです。
逆に小さくなる分にはいくらなってもかまいません。殺人クモやネズミものも多いですし。どこから出てくるかわからない恐怖感は等身大よりもむしろ高いかもしれません。ただ、殺人ダニ*1や殺人ミトコンドリア*2のような超極小の世界になると、人に寄生してその意識を乗っ取るパターンになり、等身大になります。なので、極小の限界はクリープショー*3に出てくるゴキブリくんあたりではないでしょうか。

*1:ウルトラセブン松坂慶子デビュー作

*2:パラサイト・イブ

*3:ジョージ・A・ロメロ監督のオムニバス映画。ゾンビは出ない