「ドイッチェラント、ドイッチェラント、ユーバアーレス、ユーバァアーレッサインデアヴェルト!」
陽気で怪奇なこのシリーズもここ数作品はサイレントからトーキーの世界へと移っております。てことでドイツトーキーの不朽の名作にして、マレーネ・ディートリッヒ出世作に触れねばなりますまい。

嘆きの天使(トールケース) [DVD]

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ええ、この作品を紹介するのに言葉は要りません。見てください!!とだけ言うしかない。・・・と放擲したままでは基も子もないのでまあ紹介します、蛇足だけどね。この作品、原作者はハインリッヒ・マントーマス・マン*1のお兄ちゃんですね。ドイツはグリム兄弟にしろマン兄弟にしろ兄弟文学者が多いですね。家職意識でもあるのでしょうか?マイスターの国ですからね。で、この作品は厳格な教師(演ずるはエミール・ヤニングス)が踊り子ローラ・ローラ(演ずるはわれらがマレーネ・ディートリッヒ)の魅惑に参って、教師生活を棒に振って彼女のヒモになると言う話。ドイツ往年の名優・エミール・ヤニングス。ここぞとばかりに迫真の演技です。何故なら彼、英語が喋れないため、トーキーの隆盛に乗り遅れてしまい、汚名挽回のためハリウッドから監督を呼んでこの作品に挑んだのです。いわば彼のための映画なのですが、たった一人の新人女優にこの映画を掻っ攫われてしまいます。彼の必死な演技からはかけ離れた、気だるく、物憂げな目の女性マレーネ・ディートリッヒに。
つづくよこれまた

*1:ノーベル賞を取った偉い作家。主人公が破滅して死ぬ作品多数