アホみたいに面白い

ワイルド7 [愛蔵版] 1

ワイルド7 [愛蔵版] 1

桜玉吉*1が絶賛するので数年前から気になっていたのですが、最近一時間に一回はマシンハヤブサ*2の歌を口ずさむハヤブサ病」にかかってしまったので、原作者も同じということもあり、この機会に購入しました。1969年とは信じられないほどスピーディーなアクション。悪には悪を以って対するという非情のリアリズム。そしてバサバス人が死ぬ残酷描写。70年代に特撮として作品化されたとき、人気の高さに比して短命に終わった理由が人を無闇に殺しすぎるだったのも納得できます。
ワイルド7は七人の悪人によって構成されたバイク警察で、問答無用に悪人を処刑する権利を持った恐怖の集団です。警察の手ぬるさに失望したエリート・草波によって作られたこの組織は序盤から容赦ない虐殺ぶりです。必殺シリーズなどでもいえることですが、こうした虐殺モノを読者や視聴者に違和感なく受け入れさせるには、敵側の描写をもっと残虐にしなければなりません。そのため、ワイルド7の敵も社会制度や法律を盾に取りながら、影では卑劣な犯罪を平気で行う闇の組織となります。ワイルド7の連中は残虐ながら仲間を思う熱い心は人一倍ある奴らで、彼らの行動原理もお題目の正義でなく、仲間や知り合いに対する身内愛に基づいた義侠心となります。冷徹なリーダー・草波にしてもその心は例外なく持っています。
絵のタッチも凄いです。トーンを全然使っていないのですが、そのため画面にメリハリが出て、黒のベタと白い画面のメリハリが美しい。内容はワイルドながら緻密に計算された画面配置、構成、銃やバイクの精緻な描写。心身両面息をつかせぬ衝撃のストーリー展開。そしてひそやかな表現のお遊び。これは麻薬です。第二部のバイク騎士編までしか読んでないのですが、メンバーの前歴を紹介しながら展開する、死闘、裏切り、友情、そして悪への容赦なき処刑!!序章においてこれだけの妙味を見せ付けられては・・・もう。だって、だって、開始わずか数話で主人公・飛葉に草波から怒涛の死刑宣告が・・・
「それでは、俺はあと27分しか生きられないというわけだな!!」
必読です。面白さは保障します。

*1:鬱漫画家。今は回復したのだろうか?

*2:望月三起也がキャラデザインをしているアニメ。マッハGO GO GOとサイバーフォーミュラーの中間ぐらいのポジションのアニメ