仮面ライダーに求めるもの

今日は仮面ライダーカブトを見ました。平成ライダーはねちっこく対象に近づくわりには終盤におけるダイナミズムがないのがいつも不満でした。まあ、昭和ライダーもダイナミズムがある終わり方をしたのはストロンガーとスカイライダーとブラックやRXぐらいで、それにしてもスカイライダーやRXに関しては盛り上げ方や全員キックの凡庸さ、「俺たちも行くぞ!!」*1の台詞に見られるような一号ライダーのヘタレさなどから成功しているとは言い難いので、あまり平成ライダーを責めるのは正しくないかもしれません。
しかし昭和ライダー平成ライダーを比較した場合、製作の方法が違います。私が問題にしたいのはここなのです。昭和ライダー怪人を主軸にして話を進めています。そのため、一話一話で出てくる怪人の暗躍や、それにいかに対処し解決するかという一話ないし二話完結を基本としています。これに対して平成ライダーは話を連続したものとして展開していきます。そのため怪人は添景物以上の役割は果たさず、記号化されています。「555は怪人が主役だったじゃないか」との反論があるかもしれません。しかし違います。主役といってもレギュラーキャラの怪人だけで、それ以外のヤラレ役は添景物に過ぎないのです。彼等には役目も、技もなく。あまつさえ、劇中では名前すら示されません。
そんなこんなで怪人を描かない平成ライダー(アギト以降)には大きな不満があります。せっかく出渕裕*2(アギト)や韮沢靖*3(ブレイド)(カブト)にクリーチャーデザインを頼んでも、番台*4の玩具の餌食にされるためだけの登場では余りにあんまりです。リアリティを出す為に正式名称ですら呼ばれません。だったら初めから動物をモチーフにすんなといった感じです。
こんな感じで不満たらたらですが、カブトは嫌いではありません。ギャグに夢中で本編を忘れているからです。主役の天道のドキュンな台詞*5から始まり、坊ちゃまのあまりにもあまりなコスプレ*6、アルティメットメイクアップ*7、やさぐれホッパー兄弟*8、ニ週連続の料理対決*9など、もうなんか駄目ですとっても可愛そうな子です。平成ライダーに愛を持ち続けていた諸氏はこの展開に「グダグダ」「料理に時間使いすぎ」「あと5話で終わるはずがない」という悲観的な意見を洩らしますが、私はこれを待っていたのです。いいのです。ぶっちゃけ作品全体としての美しさなど、後世の人間が振りかえって考えればいいのです。平成ライダーは怪人の魅力を捨て成立した存在。ならばスジも展開も関係なく、ひたすら人間の魅力に興じつつ狂ずる、それでいいと私は思います。主人公の整合性などハナから平成ライダーに期待していません。陰性ではなく陽性の、花火を打ち上げて滅んでくれれば、後は野となろうが山となろうが構わないのです。カブトはきっとやってくれるはずです。ギャグや料理に精魂を込めて滅んでくれる事、それを私は期待します。

*1:RXにおける一号の台詞。思慮遠謀な一号があせっているRXの台詞にた易く前言を撤回した時のもの。ぶっちゃけRXの全員ライダー集合は・・・無駄

*2:闘将ダイモスでデビューしたデザイナー。代表的な物にロードス島戦記パトレイバーダンバインの敵メカなどがある。ダイナマンバイオマンの敵デザインは以後のクリーチャデザインに大きな影響を与えた

*3:デビルマンフリークなデザイナー。萩原一至の友人でバスタードの魔王のみなさんのデザインもしている

*4:マーチャダイジングという用語をおもちゃ売りと同一義にさせた偉大な会社

*5:「おばあちゃんは言っていた」と呟いてアレな警句を繰り出す。迷惑

*6:買い物篭をかぶったり、小学生の格好をしたりする。まあ普段の服もコスプレだし、キャラ自体が人間に擬態したワームなのでコスプレの三重重ねとも言える

*7:仮面ライダードレイクこと風間の必殺技。目にもとまらぬ早さで女性にメイクを施す

*8:ボロボロの服を着てやさぐれた二人組。「兄貴塩」「弟味噌」というカップラーメンを常食する

*9:後半に向けてヒートアップしなければならない時期にかましたアホ料理対決。私はこれを見たときにカブトと心中しようと決意したくらいアホ丸だし