アイディアル・アイデアル

id:amiyoshidaさんに勧められてこんな本読んでみました。

これはいいです。本当にオススメできます。
何故かって?
何を隠そう、ページ数が60ページ弱。本当に短い。一日のスキマ時間だけで読めてしまう。
しかしこの本が半世紀以上のベストセラー足りえたのは、短いからだけではもちろんありません。そこで語られるアイデアへの道筋はこれ以上もなく純化され、硬い。それゆえその理論を咀嚼し、租借し、我が物とするのは10万ページの本を読了するよりも困難なのです。
ココで語られるアイデアへと至る方程式はわずか5つ。
1 資料を集める
2 それに心の中で手を加える
3 孵化するのを待つ
4 アイデアが生まれる
5 現実にアイデアを適合させる

これだけ。しかし奥深い。
まず資料を集める。アイデアとは独創ではありません。虚空から湧き上がってくるものではありません。材料を必要とする錬金術なのです。我々はアルケミストとなり、材料を収集する必要があります。
その作業が1 資料を集める
ココでの材料は
①即戦力になる、今自分が必要とするアイデアにすぐ結びつく資料。
②一生をかけて収集し続ける人生、世界のあらゆる知識。およそ今取り組んでいる課題とは関係のないような…。
これは糠漬け(ぬかづけ)に例えれば分かりやすいと思います。①は直接必要となるもの、つまりはそのまま食べられる野菜です。そして②は糠床。それ単体ではおいしく食べられませんが野菜と融合させるとケミストリーを起こし、野菜をバージョンアップさせる魔法の秘薬です。この二つが融合して初めて、新しいアイデアの素ができます。
2 それに心の中で手を加える
ただ糠と野菜だけではダメです。この二種類の材料をどのように組み合わせるか、頭の中でシュミレーションする必要があるのです。
例えば、野菜は野菜でもどんな野菜をどのような糠床に入れて、どのような場所に保存するか。延々と頭の中で考えてみるのです。たとえ、おいしくない組み合わせでも、画期的なコンビができたときは忘れずにメモっておくことが必要です。そうして嫌気が差すまで組み合わせを考え抜いたら、そのアイデアにかまうのを止めます。これが
3 孵化するのを待つです。
じっくりアイデアがつかるのを待ちます。そのこと自体も頭の外から放り出し、ある日パズルのピースが自然とがっちり嵌るのを待つのです。忘れおきながら。
そして、立ち上がる瞬間は必ず来ます。
4 アイデアが生まれる日が。
あとはこの本を読んでのお楽しみー。といっても残り数十ページしか残ってないほどの分量です。
世に長い本は多々あれど、咀嚼に長い歳月を費やす本はなかなかないものです。
この本は一生かけて咀嚼すべき本の一つです。ぜひ一度口に含んでみてください。そして何度も、何度も内容を、意味を、理論を頭の中で味わってみてください。そうやって初めて、本当の味が出、身となり、骨となる本だと…。