人形裁判

              お客はちらほら。
                   リドルはたくさん。
               フィナーレはひとつ。

Forest

Forest

リドルが終わり、リドルがはじまる。
人形裁判、アリスの裁判。誰が被告か、誰が原告か。処刑の権能を握るもの、巨大な軍事権の持ち主を仲立ちとして古来から裁判は行われてきました。
しかし、ここはアリスの新宿、モリノ世界。迷っているのは皆同じ。誰しもがキャスティング権を持ち得ない世界。そこでの裁判は自然、被告、原告の境界を曖昧にします。そう、訴えられている黒いアリス本人ですら、自分が被告なのか、原告なのか、はたまた第三者なのか、判然としておりません。
そう、このガーデンは無法地帯。そこで行う裁判も当然イリーガル。ルールなど、あったものではありません。与えてくれる、優しい権力も「森」の事象の彼方に消えてしまいました。
それでも時間は刻々過ぎ行き、黒いアリスの心臓を、生の証を蝕みます。そう、人間はノーフュチャーにしてアナーキー。しかして死の期限。タイムリミットだけは確実に用意されているのです。そう、死は絶対。それがある限り人間は自由になれない。秩序的、オルドニュングに従う奴隷人形。そもそもの「秩序」の期限が、厳格な「死」に立脚してのものなのに、アリスはそこから逃げようとした。そう、「秩序」に己を仮託して、死という入れものの中から秩序だけを抜き出して、その中へと入り込んだ。そうして彼女は死から逃れた、抜け殻だけを残して。
ことばあそびとお笑いなさるか。とんでもない。そこがForestの恐ろしさ。理だけでは行けない、而して理の中に生ずる無限の世界。生と死のハザマよりタイトな生と死の概念の中へと己を代入するあざとさ。
フィクションを、架空を、思う存分嘗め尽くし、貪り尽くす。その先に浮かぶ真実。逃れようもない「夢」という現実。「森」という真実。まこと、恐るべき、エロゲー

アリス裁判の法廷となった都庁の写真です。