仮面ライダーは改造人間である。

仮面ライダー本郷猛(一文字隼人)は改造人間である。
彼を改造したショッカーは世界征服を企む悪の秘密結社である。
仮面ライダーは人間の自由の為にショッカーと戦うのだ!

                  仮面ライダー オープニングナレーションより

…ショックです。また一人、特撮の重鎮が鬼籍に入られました。そう、仮面ライダートリビアのナレーションでお馴染みの中江真司氏です。あの淡々としたナレーション。あの声で
カニバブラーの泡は発火性」
とか
死神博士が送り込んだ南米のデンキナマズの改造人間・ナマズギラー!!」
やら
「秘密工場の突然の爆破はタケシの予期せぬ僥倖であった。『誰かが、オレに代わって爆破してくれた!』今、タケシは名も知らぬ、顔も知らぬ正義の人に、心からの祈りを捧げるのであった」
など、どう考えても日常会話で登場しそうにない奇異な単語が連発される。それでいて当のセリフを喋っている中江氏は眉一つ微動だにせぬ、泰然自若とした声。
このえもいわれぬナレーションの世界。ナレーターは本人のほしいままに世界を作るのが役割ではなく、あらゆる世界に自由に、かつさも最初からいったように存在する、忍者のような、空気のような、それでいてかけがえのない存在。
人間が白骨化し、裏切り者は処刑、チョークスリーパーをかけられている戦闘員にはどこからともなく毒矢が飛び、怪人は溶解、爆散。瀬戸内海の島は吹っ飛ぶ。再生怪人は戦闘員なみの扱い。そんな仮面ライダーアバンギャルドワールドにただひとり空気のように佇む中江真司
その喪失は、かれに当てられ続けていたスポットライトは、死してのち、始めてその姿を現す。
さながらネガライト。謹んでご冥福をお祈りします。

追伸:レインボーマンなんかになると、状況説明のナレーションが川内康範節バリバリ。中江真司が半分主役だよ、ホント。