はてなスターは「何を」変えたか?

最近、ブログの上の方にこちょこちょとはてなスターが付いているのを見かけます。星が何列も並ぶとヒコーキ乗りの撃墜数みたいだなぁ、と思うとわくわくしますね。
ですが、「はてなスター」の本領はブログに添付されることで発揮されるものではなかったのです。最近、ようやくコレの真の使い方が分かってきました。
はてなスターとは - はてなキーワード
いちおうおさらい。「はてなスター」は、当初。殺伐としたコメントやブックマークによる荒し、炎上を防ぐ目的で開発されました。コメントやブクマだと相手にネガティブな印象を与えることもあるのに対し、はてなスターは「星を送るという」ちょっとした贈り物の意味を持っています。「挨拶のようなもの」でもあります。
しかし、はてなスターの役割はそれのみにとどまりませんでした。「はてなスター」は記事のみではなく、その記事に対するブックマークにも星をつけることができるのです。
ある記事にブックマークがなされた場合、そのブックマークがなされた日付順に上へ上へと蓄積されていきます。そこにはブクマをした人間の署名、付けたタグ、及びコメントが表示されます。ここまではブクマをした人間が設定する領域です。
そこに登場するのがはてなスターです。
ブックマークが100単位までいくような記事には、様々なブックマークコメントが積載されていきます。無言、賛同、罵倒、一言、長文エトセトラ。これら雑多なブクマコメントはその総数において、本文より長文になることがあります。これらコメントのなかで秀逸なものには読者によってはてなスターが付与されます。
長文のブクマコメントの中から玉石をより分けるのに、このはてなスターが有効活用できます。この星が多ければ多いほどそのコメントに賛同、ないしは何らかの感想を抱いた読者が多いことになるからです。この星の数を参考にブクマされた記事に関する理解を増すことができるのです。さながらブックマーク。
そう、「はてなブックマークのブックマーク」。それこそがはてなスターの大きな用途の一つとなっているのです。
はてなスターは当初の目的である「ブックマークによる中傷を抑制する」ために使用されるのではなく、「ブックマークのブックマーク」として、はてブの構造の重層化へと寄与する結果となったのです。私ははてなダイアリーはてなブックマークはてなスターによる重層構造をはてなピラミッド」と呼ぶことにします。

図にするとこんなカンジ。
黒矢印はブックマーカーの向かう方向です。
はてなダイアリーに対する、はてブによるブックマーク。およびそのブックマークの内容に対してのはてなスターによる「ブックマークのブックマーク」という流れを表すのが黒矢印です。
赤矢印読者の進む方向です。
①ある記事を読む→②その記事に付されたブックマークの内容を読む(ブックマークした人のダイアリーを閲覧する)→③その際にブクマに付されたはてなスターを参考にする。(スターを送った人の記事を閲覧する)

このようなはてなピラミッドという有機的結合体の成立に大きく寄与したのが「はてなスター」なのです。
このような密接な連関がなされるようになると、そこから締め出されるものも出てきます。それが「コメント」です。
404 Blog Not Found:「誰の」には三つある
この中でコメントからブックマークへの移行が述べられているように、「はてなピラミッド」に含まれる三者のように有機的な連関を持たない、なおかつブックマークと共通する機能のコメント欄は、その存在を薄くしつつあるのです。

このようなはてなスターの展開は、設立当初の目的とは大きくかけ離れているでしょう。しかしこの構造はブログユーザーどうしが結びつくためのそれまでにない画期的な手段となりました。
たとえ「はてな村化」がどんどん進行する結果になろうとも…。