おっかなびっくり建築

私は建築を見るのが好きなんです。



で、その美意識の基準はおそらく「拙さ」 なんですね。
いや、ヘタウマがいいとかそういう話ではなく、オッカナビックリなチャレンジ精神のことです。

どんな時代の、どんな名人の建築にも必ず「拙さ」はあります。それは失敗ではなく、新しい感覚や技巧、技術を駆使した際のあらけずりな感覚です。


その生々しい削ぎ出し口は、それ単体では美しくありません。その周囲をこなれた、手慣れた技術、確りとした足場に固められることによって、美しさが浮き彫りとなります。若さと老練の融合。それが鎹のように、接ぎ木のように、連綿と折り重なっていく。名前も顔も知らない人間によって受け継がれる技術と折り重ねられる独創。どの時代を切り取っても断絶なく、堅牢な新陳代謝が行われている。


建築は常に美しかった。そして美しい。今も昔も、代わりつつ。
「オッカナビックリ」を見つけるたびに、そう思います。