今、覚えたいこと

ええっと、私が今一番習得したい技術に「縮地」(しゅくち)があります。
私、マンガを描くのが趣味なのですが、どうしても出来ない、というか自然に行えない技術の一つが「縮地」(しゅくち)なのです。
これ、本来は仙術の一種で、遠くの土地を手元に引き寄せる。つまり土地を縮め、距離を短くする技術なのです。人ではなく土地が動くのでテレポートとは少し違いますよ。
この言葉を私はマンガに適用しております。たとえば、主人公がフライドチキンを食べて、骨を吐き出す動作をコマ割すると、

1フライドチキンの絵→2主人公手に取る→3口に持っていって噛む→4咀嚼する→5吐き出す→6皿に落ちる骨

となります。これを一動作一コマに割り当てると全部で六コマになります。長いですね。一ページ使ってしまいますよ。で、これに「縮地」を適用すると、

1フライドチキンの絵→2「ひょい」という擬態語とともに手に取る主人公→3噛む→4「プッ」と言う効果音。皿に落ちる骨

文章は長くなりましたが、使うコマは減りました。さらに適用すると、

1主人公フライドチキンの食いかけを手に取り、口をもぐもぐ→2「プッ」と言う効果音。皿に落ちる骨

もっと…

1主人公フライドチキンの食いかけを手に取り、口をもぐもぐ。効果線で顔の動きを表し、揺れる顔を描く。「プッ」と言う効果音。効果線。同じコマ内の皿に落ちる骨

はい、一ページが一コマにまでなりました。これが「縮地」の極地です。しかしこんなコマばっかりだと情報量が多すぎてクドいまんがになりますね。かといって一番上のだと一ページ丸まる、ムダ。
重要なシーンでは縮地を使わず、細かく描写し、そうでないシーンには適用する。この比率がマンガの「見せ場」というヤツを決定するのです。私が苦手なのはこの「縮地」のバランスを見極めること。本能、というよりは感覚で重要なシーンとそうでないシーンのコマ割りを弁別できず、「縮地」を感覚的に行使できないんですね。
今は解決方法として全コマのとりあえずのネームを切ったあとに、点検して「縮地」するコマ。逆に「縮地」を解除するコマを朱で改めて、もう一回ネームの切り直しをするのですが、非効率。
ああ、スラスラ、感覚的に「縮地」ができるようになりたいなあ。回数をこなすしかないのか。

*1

*1:ちなみにここではコマ割りのみに触れましたが、文章に於ける「縮地」も苦手です。動作で説明しているはずなのに口で言わせてしまったり、ムダに効果音をつけてしまったり。だから私のブログも、いつも長くなってしまうのでしょうね