ルピシア 正山小種


正山小種(ラプサンスーチョン)とは、フレーバーティー(人工的に着香した紅茶)の元祖です。中国は福建省武夷山のふもとで誕生しました。
ピーチティーや、バニラティー。レモンティーなど素敵なスィーツ風味の茶が、これまで数多(あまた)生み出されてきました。
しかし、正山小種はそれらの生みの親でありながら、まったくちがった味わいを見せます。
その特色をひとことで現すと。

問答無用で「煙」です。ウィスキーやスモークサーモンの「スモーキーさ」などは目じゃありません。これこそまさに「ケムリ」。紅茶と言うより、ケムリ。
スィーツなケータイ小説を期待していたら、『仁義なき戦い 広島死闘編』の脚本を見せられたようなものです。ハードボイルド(固ゆで卵)いや、ハードスモーク(燻製卵)です。たまたま松煙がまとわりついてできたという誕生神話は伊達じゃありません。お部屋にお線香のにおいが満ちるティータイムです。

だが、なぜか、クセになる。英国人のケムいもの好きを実感できる一品です。