あけましてトラトラトラ2
今年はいっぱい映画を見る年にしたいです。元日、二日に見た映画をざっと並べてみますね。
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きちがいてきな面白さ。
アバンギャルドいれずみが散り乱れる江戸時代、権力の腐敗が生み出す「面白処刑」が炸裂する!!
どんなプロパガンダ映画よりも権力への憎しみを植え付けられます。権力者の憎むべき点、それは奴らの腐敗でも圧政でも富でもない。奴らが「ぼくのかんがえたかっこいいしょけい」を思う存分楽しめるから。
「海上火あぶり」とか「竹割き刑」とか、本作オリジナルの処刑の数々が大脳を麻痺させるほどの楽しさ!
そう、権力者の憎むべき点は「ぼくたちのしらないとこで、おもろいあそびをしている」ことっ!!
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: DVD
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本作のシナリオの良さはシド・フィールドのお墨付き。
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
- 作者: シド・フィールド,安藤紘平,加藤正人
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2009/03/31
- メディア: 単行本
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この作品ではあらゆるモチーフが必ず二回登場します。
寝とられ旦那、紙を破く、池、車への細工、車のブザー。
一度何気なく示されたものが、次には全然違う意味をもってくる。味わおうと思えば、いくらでも、なんどでも味わえる作品です。
あ、ちなみに本作のノア・クロスというキャラクターが『Theビッグオー』の社長の父親のモデルですね。マニアックなとこから持ってくるなあ小中千昭。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2010/03/19
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昔見たときは日本軍人を体現する神宮司大佐(田崎潤)の変節が許せなかったし、そこに土足で上がり込み、空っぽの理屈で戦後民主主義を説く旗中(高島忠夫)の無神経が許せなかった。
しかし、今思うと海底軍艦が作られたのは1963年。戦後18年なのだ。我々が思うほどに戦争やそれに対する思いは過去には行っていない。彼らには、彼岸から戦争を眺められる余裕が、今の我々ほどあったとは言えない。
この作品での「先の戦い」は、足元にまとわりつく、無理にでも否定しなければ先に進めないほどの実体を持ったものだったのではないか。
だから、日本人の頑明さをカリカチュアライズしたムゥ帝国は、日本の代わりに滅びざるを得なかった。神宮司は自身の過去を、古き日本を、滅ぼさざるを得なかったのだ。
しかし、そのミソギにも似た総括の仕方は相変わらず「日本人的」であり、戦後とも、民主主義とも、関係なかったりするのだ。
やはり納得できないぞ、うん。
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
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で、何より私が好きなグレゴリー・ペックの代表作が本作。
好きなんですよ、ペック。三船敏郎系のこの手の顔が好きなんです。アメリカの善なる面を体現する俳優だと思います。本作の人権派弁護士とか、『大いなる西部』の海の男とか。
両作とも、周囲が容易く暴力に走るなかで、一人だけ絶対に非暴力を貫くのです。銃に満ちた世界だからこそ、彼がそれを人に向けない姿が、感情をトリートして、悪意を発さず、拳すらたおやかであるその姿が光ります。
『ローマの休日』のブラッドレーのさわやかな誠実さも好きですが、私の中のペックの姿。それは、一人、誰にもよらず、誰のせいにもせず、一人、ただ一人「誠実」を尽くす男の姿です。
ただし、銃には強くても、悪意には黙るしかないペックは後年『オーメン』でダミアンの姦計にはまってしまうのです。