あけましてトラトラトラ2

今年はいっぱい映画を見る年にしたいです。元日、二日に見た映画をざっと並べてみますね。

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きちがいてきな面白さ。
アバンギャルドいれずみが散り乱れる江戸時代、権力の腐敗が生み出す「面白処刑」が炸裂する!!
どんなプロパガンダ映画よりも権力への憎しみを植え付けられます。権力者の憎むべき点、それは奴らの腐敗でも圧政でも富でもない。奴らが「ぼくのかんがえたかっこいいしょけい」を思う存分楽しめるから。
海上火あぶり」とか「竹割き刑」とか、本作オリジナルの処刑の数々が大脳を麻痺させるほどの楽しさ!
そう、権力者の憎むべき点は「ぼくたちのしらないとこで、おもろいあそびをしている」ことっ!!

チャイナタウン 製作25周年記念版 [DVD]

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ロマン・ポランスキー監督作品。チャールズ・マンソン教団に嫁さんを虐殺されて以来、アメリカを離れていた監督に復帰のきっかけを与えた作品。
本作のシナリオの良さはシド・フィールドのお墨付き。

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

この著者の中で、この作品のシナリオがたびたび参照されます。私が「うまいなぁ」と思ったのは、『二回の法則』。
この作品ではあらゆるモチーフが必ず二回登場します。
寝とられ旦那、紙を破く、池、車への細工、車のブザー。
一度何気なく示されたものが、次には全然違う意味をもってくる。味わおうと思えば、いくらでも、なんどでも味わえる作品です。
あ、ちなみに本作のノア・クロスというキャラクターが『Theビッグオー』の社長の父親のモデルですね。マニアックなとこから持ってくるなあ小中千昭
【東宝特撮Blu-rayセレクション】海底軍艦<Blu-ray>

【東宝特撮Blu-rayセレクション】海底軍艦

ラーゼフォン』のコンセプトモデルになった作品。また小中千昭か。というか、バイオマンでキャラデザしてた時から、天本英世を使いたかった総監督・出渕裕の陰謀。
昔見たときは日本軍人を体現する神宮司大佐(田崎潤)の変節が許せなかったし、そこに土足で上がり込み、空っぽの理屈で戦後民主主義を説く旗中(高島忠夫)の無神経が許せなかった。
しかし、今思うと海底軍艦が作られたのは1963年。戦後18年なのだ。我々が思うほどに戦争やそれに対する思いは過去には行っていない。彼らには、彼岸から戦争を眺められる余裕が、今の我々ほどあったとは言えない。
この作品での「先の戦い」は、足元にまとわりつく、無理にでも否定しなければ先に進めないほどの実体を持ったものだったのではないか。
だから、日本人の頑明さをカリカチュアライズしたムゥ帝国は、日本の代わりに滅びざるを得なかった。神宮司は自身の過去を、古き日本を、滅ぼさざるを得なかったのだ。
しかし、そのミソギにも似た総括の仕方は相変わらず「日本人的」であり、戦後とも、民主主義とも、関係なかったりするのだ。
やはり納得できないぞ、うん。

アラバマ物語 [DVD] FRT-155

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ヒロイン・スカウトのおかっぱがむっちゃかわいい。ザンスカール軍みたくタイヤでごろごろするのとか、ハロウィンのけったいな被り物とか、コケティッシュ
で、何より私が好きなグレゴリー・ペックの代表作が本作。
好きなんですよ、ペック。三船敏郎系のこの手の顔が好きなんです。アメリカの善なる面を体現する俳優だと思います。本作の人権派弁護士とか、『大いなる西部』の海の男とか。
両作とも、周囲が容易く暴力に走るなかで、一人だけ絶対に非暴力を貫くのです。銃に満ちた世界だからこそ、彼がそれを人に向けない姿が、感情をトリートして、悪意を発さず、拳すらたおやかであるその姿が光ります。
ローマの休日』のブラッドレーのさわやかな誠実さも好きですが、私の中のペックの姿。それは、一人、誰にもよらず、誰のせいにもせず、一人、ただ一人「誠実」を尽くす男の姿です。
ただし、銃には強くても、悪意には黙るしかないペックは後年『オーメン』でダミアンの姦計にはまってしまうのです。