ホラーに欠かせないものとは何でしょうか。刺激?恐怖?モンスター?いやいや正解はザコンです。マザコンなくしてホラー無し。そう、マザコンはホラーの淵源とも言える要素なのです。
ヒッチコックのサイコやジェイソン、キャリーの例を引き合いに出すまでもなく、事件の原因となる一族は母子家庭であることが多いです。ここで父子家庭であるなら、父親の元を飛び出すなり、父親を殺すなりといった対処がとれるはずなのです。そう、父親は母親と比べれば子供との距離は歴然としています。あくまで父親との関係は現実の領域を出ないのです。しかし母親となるとどうでしょう。自分を生んだ無二の生物である母親、身体的な強弱にかかわらず、「母」という存在の持つ血の絆は恐ろしいものがあります。それは決して理では割り切れない拘束力と言えましょう。ギリシャ神話のガイアやシュメール神話のティアマトを引くならば、ここでの母は混沌の表出を表し、自身の生んだ化け物の側に立ち、理性を象徴する父や自分の息子たちと戦います。そう、母親は自分の生み出したものがどんな化け物であっても、その側に立つのです。ここにホラーが生まれる原因があると言えるでしょう。しかし、本当に母親が擁立する子供たちは化け物なのでしょうか?ひょっとすると化け物になってしまったのではないでしょうか?このシリーズは来週に続きます。