ロウデンクロウス(漏電苦労す)
映画みました。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2004/09/10
- メディア: DVD
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で、肝心のアドソ君*2ですが、なかなかグッジョブ。情緒不安定さと敵を追っかけるときだけ強気になる調子のよさは原作のイメージそっくりです。で、その他の僧院の連中ですが、丸々太った白子がいたり、白内障が進みすぎてほとんど白目の爺さんがいたり、痩せぎすの悪魔っぽい文書館長がいたり、サルバトーレ*3がいたりとさながら怪人軍団みたいで面白かったです。
まあ褒めるのはここまでにして、原作と比べて納得いかない点をいくつか。
第一にラスボスがアリストテレスというのが原作の最大のツボだったのに、そこらの事情が割愛されていること。これじゃあアリストテレスの詩学を何故ホルヘ*4が恐れたのかがわからない・・・。
第二に異端審問官のベルナール・ギー*5が単純な悪役になっていたことです。原作は敵・味方という単純な話ではなく、ウィリアム自身も「最大の敵は味方の中にいる」と述べているのです。単純な対立図式はわかりやすいけど・・・どうも。法王庁やギーに対してフランチェスコ会派のお歴々も腰砕けすぎだし、あと最後に民衆に崖から突き落とされて死ぬのも、ねえ?
で、最大の納得いかない点は編集方法にあります。この話は映画の尺の都合上ある一エピソードを話の中心に据えています、そう、アドソの童貞喪失がこの話の骨子となっているのです。いやあ、確かに原作でも重要な場面ですし、その後の流れに影響を与えていきますが、ラブロマンス風味に処理するのはどうかと・・・。修道士と性愛という関係が現実の我々のほうに近づけすぎて解釈されている気がするのです。いえね、アドソも童貞喪失もガクガクブルブルもよくできていたと思うのですよ、絵的には。ただ、惜しむらくは現世の我々の解釈で割り切って作らざるを得なかったことです。まあ、大衆娯楽なので仕方ないですね。
でも、雰囲気作りはほぼ満点です。原作のイメージとほぼピッタリの世界がそこにはあります。是非、