比叡山大遭難3

さてよさてよ。われら愉快な三人組(そう思ってるのは多分わたしだけだが)は延暦寺の東塔*1を後にして無動寺へ。ここは例の千日回峰行で有名な天台修験のメッカなのです。そこで恐るべき奇跡が!!真言僧君の持っていた数珠(真言宗バージョン)が明王堂の前で突如ロスト!と、思ったらあらぬところから出てきたという、奇跡レベルにして0.0002くらいの奇跡です。やはり天台と真言は相容れぬものなのでしょうか?
明王堂の拝観も終わって、いよいよ下山です。しかし日はだんだんと翳ってきており、視界も悪くなってきました。そのくせ歩く道はほとんど崖!!あまつさえ、目印になるはずの鳥居が明らかに道ではないヤブへとわれわれを誘っている有様を見たときには、死の恐怖さえ感じました。真言僧くんは暗くなってから一言もしゃべりませんし、宇多源氏くんと私の会話はアホな内容しかなく、さらに救いがありません。黄昏時に突入し、もうだめかと思ったそのとき、やっと広い道に当たりました。「た、助かった!!」
・・・しかし、喜びはつかの間でした。暗いながらも広い道。安心して進んでいたところ、どんどん先細りに。最後には道はなくなりました。万事休すです。藪の中です。芥川龍之介です。歯車が見えます。河童です。黄桜です。オールヌードの雌ガッパです。「かっぱっぱー、どんぱっぱー」・・・、もはや洒落もかましていられませんでした。唯一明かりとなる携帯電話をかざしながら、先頭に立って後から来る二人に方向を示します。しかし道は幾重にも別れ、なおかつ人道といえぬ獣道。おまけにどうやら川の上を歩いているらしく道がぬかるんでいるようです。「生きて帰ったら何がしたい」「とりあえずラーメン」てなことで励ましあいながら、道ともつかぬ崖を下っていきました。それから四十分、道の横に漆喰の塀が、こ、これは?曼殊院*2の塀だ、ふもとだ!!ふもとに着いた!!!」
後のことはよく覚えていません。とりあえず皆でラーメンを食べに行ったことと、帰りの自転車であまりの眠さにひどい蛇行運転をしたこと以外は記憶のかなたです。もうこんな無茶は二度といたしません。さすがのmantrapriも叡山の薬師に誓いましたとさ。
おわり、なごやはしろでもつ

*1:最澄が日本の六ヶ所に立てた六所宝塔のひとつ。現在では比叡山の根本中堂を中心とした一帯をさす名称でもある

*2:天台四門跡のひとつ。修学院離宮のとなりにある