飛梅
昨日の日記でさださん*1の話を書いていたら*2、急に思い出しましたよ飛梅(とびうめ)。大宰府に流された右大臣・菅原道真の無聊を慰めるため、地方都市Kからはるばる飛行してきたこの梅のことを思うと、酸っぱくって涙が出ます。道真の境遇にもついでに涙が出ます。彼はそれまでの地位も名誉もなくし、たった一人大宰府へ。しかし同情だけなら誰でも出来ます。私の好きな作品ではこう解釈しています。
- 作者: 毛利甚八
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1993/12
- メディア: 単行本
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「梅がついてきてくれたのだからいいじゃないですか」
と解釈します。現世での栄華は無くとも、彼を愛してくれる梅がある。その幸せにこそ人は気付くべきだとさりげなく、しかし確信を持って彼は語ります。その愛がわかっていたら道真も怨霊にならずにすんだのではないか、と私は思います。いえ、ひょっとしたら怨霊になったと思い込んでいるのは彼を追放した後ろ暗い人たちで、彼自身は飛梅に愛された心のまま死んでいけたのかもしれません。
まあ、そう思っておきましょう。故人は黙して語らず、それを解釈するわれわれは飛梅でも雷神でも好きな道真を思い描けるのですから。それが生きているものの特権であり、業です。