科学者2

さて、昨日に引き続きショット・ウェポンの話をするとしよう。(頭の中で若本規夫*1ボイスに勝手に変換)彼はアメリカの天才科学者であったが、バイストン・ウェルという異世界に流れ着き、地方領主ドレイク・ルフトに召抱えられることになった。彼がその技術で作り上げたロボット・オーラマシンはドレイクのバイストン・ウェル統一の野望に火をつけた。それまでわれわれの世界で言うところの中世の戦闘から、一気に近代戦へと戦史は塗り替えらたのだ。
さて、これまでの特撮、ロボットアニメの科学者とショット・ウェポンが一線を画する点に“戦史を塗り替えた”ことが挙げられる。他の科学者はいくら「天才」と呼ばれようが所詮は学問体系の一パーツにすぎず、世界史に名を残す働きを番組内で評価されなかった。ていのいい技術屋としかとらえられなかった、とも言えよう。しかしショット違う。彼はバイストン・ウェルという異世界にまったく新しい技術を持ちこんだ創始者であり、唯一無二の存在である。ダンバィンの主人公のショウ・ザマが死のうが悪の親玉ドレイク・ルフトが死のうがバイストン・ウェルの歴史は微塵としか歪まない。しかし、唯一の技術の開発者にして提供者ショット・ウェポンの死はその世界の枠組みを大きく変える。人類の革新*2の歴史は過去いずれも兵器の発展に伴っていることを鑑みれば、オーラバトラーを中心とした戦いと、それによって生じる世界の変調を描くダンバインの世界はショットによって創造された枠内において展開されている。つまり聖戦士ダンバイン彼の物語なのである。これを主役といわず、何をいおう。
ガンダムなどでよく言われる「一人の兵士の働きのみで戦局は変わらない」という言葉。しかし、一人の科学者は戦局のみならず戦史を、そして世界を変えるのだ。以後のアニメ、特撮がショット以上の科学者を生み出すことを切に願わん。

*1:ダンバインのナレーターその他いろいろの人。近年の役ではアナゴくんや音速丸

*2:技術に限定