爽快?そうかい、そう解釈するのかい君は夏を

夜も暑い、朝も暑い、大気がむんむんとした膜に覆われている。まさに夏、これぞ夏。気だるく素敵に愉快でうざい、すばらしい季節。一年中夏でもいいくらいです。
クーラーなんか要りません、扇風機もいりません。部屋の中心で愛は叫ばず、怨念と蔑みと憐憫と総括を頭の中で延々と繰り返しているだけで気分はハッピー。この季節は何も発散させてくれません。すべて歪んだ大気によって体の中へと押し戻されます。しかし、それこそがこの季節の本領。自分の中のダイモニオンは一抹たりとも体外に排出させやしません。「カエサルのものはカエサルのもとへ」「お前のものはお前で処理しろ、俺のものは俺で処理する」しかし、お前が垂れ流した「自己責任」という言説は垂れ流した時点で他者に干渉している。その発言を謳歌するところに「自己」も「責任」もない!ただただひたすら己に埋没すべし。埋没することに埋没し、その楽しみ苦しみを独占すべし。暑い大気は体の壁*1を取り払うが心の壁を厚くする。しかしそれが自己だ。気分に任せ飛び立つことのできないおのれの真っ心が体中をうねうねする。それを楽しもう、味わおう。
夏は自分勝手な季節、わがままな季節。そして真実の季節。

*1:衣服