2.ロボット
「何をいまさら」という言葉はいいっこなし、これを語らざれば片手落ち。そう、ほとんどの富野作品はロボットアニメです。しかし凡百のロボットアニメと富野作品が違うのはそれが単なる戦闘機械ではなく、なにかもっと別の異様なモノという点です。まあ、元来スーパーロボット*1は間接がありえなかったりと、ある意味ロボットを越えていました。そこに革命を起こしたのがガンダムなわけです。はあ、まあ皆さんご存知ね。兵器として量産されるロボット、主人公機といえどコマのひとつに過ぎない戦争の冷淡さは画期的で、以後リアルロボット路線が拡大していき80年代のロボットアニメブームが到来するわけです。しかし富野はガンダムの次でもはや“スーパー”、“リアル”といった枠組みを蹴飛ばす怪作を生み出します。「伝説巨神イデオン」です。どうみても従来のスーパーロボットのデザインで作られた原色ゴテゴテのロボを古代遺跡と言い張り、吼えさせたり、星をぶった切らせたり、挙句の果てに人間を滅ぼさせるなど正気の沙汰とは思えません。そうイデオンの段階でスーパーロボットのありえなさを神の領域にまで到達させたスーパーロボットとでもいうべき領域へと富野作品は達しているのです。そしてロボットの概念を越えた超スーパーロボットダンバインのオーラ力(ぢから)を経て、巨大化(ハイパー化)というありえない方向へとひた進みます。
この二作品の影響は本来リアルロボットの旗手であったガンダムまでも侵食しだします。
「俺の体をみんなに貸すぞー!!」というさながらドラゴンボール元気玉のようなシチュエーション*2で機体からオーラを発するZガンダム。もはや原理がわからない。(Zガンダム)
体から不動明王降三世明王のようなオーラを発して対峙するハマーンジュドーニュータイプってそんなんだったか!?(ZZ)
宇宙空間に生身でも平気なクエス変態仮面(カロッゾ・ロナのほう)(逆シャア、F91)
光の羽を出したり、幽霊に導かれたり、巨大化したり(V)
文明を砂にうずもれさせるチョウチョを出す(ターンエー)
もはやリアルもスーパーもありません。しかも当初はロボットだけだった超現象はしだいに人間までも蚕食していきました。かようなサイキック世界の超スーパーロボットとでもいうべきものが富野作品のロボットではないかと考えます。

*1:リアルロボットと対比する意味での用語

*2:もちろんパクッたのはドラゴンボールの方だが