上位下位

ねーむいなぁー。ヒュプノス*1がひょこひょこと現れ、私に睡眠光線を浴びせてきます。「異教の神の攻撃など屁ほどにも感じぬわ」と思っていたのですが、まんまと引っかかってこの有様。それもそのはず「眠い」という意識は万人共通のもの、それが具象化されて浮かび上がってくるのがヒュプノスのような神格であって、もともと人間に共通して存在する本能のほうが上位意識にあるということですな。
しかし人間というものは出来立てほやほやの乳幼児のような、下位意識の方をありがたがる傾向があります。全世界的にしてもあれほど全盛を誇った多神教は野党へと追われ、今ではユダヤ教から独立分派した唯一神が与党となっております。つまるところ我々はいくら下位意識の創造した産物であれ、新しいものを好む傾向にあるのでしょうな。言い換えれば上位意識は磐石たる基盤の上にあれども、そのありがたみを自覚することもなければ、下位意識ほどの使い勝手もない。こう考えれば人類の進歩とは平面を平行移動することではなく、東京タワーのような先細りする塔を垂直に上っていくようなものですな。上へ上へ、ツヅキガナケレバサヨウナラ。

*1:ギリシャ神話の眠りの神様