スィンギング

あはは、ポロン。
あはあは、ポロン。
あはあはは、ポロン。
笑うたびに体の奥でコロコロと何かが鳴いています。私の下宿・コーポアルテスムゼウム(仮名)ではペットは飼ってはいけないのに。困ったなあ。S県にある実家もマンションなので預けて飼ってもらうわけにもいきませんし、何よりこの鳴き声が私から離れようとしないのです。
あはは、ポロリン、トロレッテ。
たのむよぉ。なあ。うちはペットは飼えないんだ。おまけに私は甲斐性なしだ。今までに数多くのペットを地獄送りしている。みすみすわかっている未来をお前に見せるような酷な事、出来るわけないじゃないか。お前の自主性とやらに任せるけど、餌はやれないし、死んでも墓なんか、作ってやらないぞ!
えへらえっへら、パラピリュリュテン。
・・・よろしい。お前の覚悟のほどはよーくわかった。そして私の性根のなさもよーくわかったよ。認めよう、いや妥協しよう。そしてお前の住むためのスペースをつくってやる。大家にだって何もいわせやしないさ、どうせ聞こえはしないんだから。私の中で好きなだけ、私の声に唱和して、鳴くがいいよ。そのことで幸福になるほど私は餓えてはいないけど、それで不幸になるほど満たされてもいないんだ。鳴けよ鳴け。思う存分、鳴けよ鳴け。
ピラリラピロロ、スロスロピッポン。