歴史の父は残酷
こんなん船の中で読み終わりましたよ。
- 作者: 松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1971/12/16
- メディア: 文庫
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どんな構成かというと
1.オリエント諸国(リュディア、メディア、バビロニア、エジプトなどなど)が勃興する様子を面白おかしく書く。
2.諸国で王(クロイソス、アスティアゲス、アマシスなどなど)が位に就き、活躍する様子を面白おかしく書く。
3.上記の国々と王がペルシア帝国によって滅ぼされ、蹂躙される様子を面白おかしく、書く。
・・・最高です。こんなに血沸き肉踊る構成は見たことがありません。ギャルゲーで狙いを定めたヒロインが終盤で不治の病であることが判明するくらいのありふれ、かつ普遍的なせつなさ炸裂*1模様です。
特にリュディア王クロイソスのくだりに関しては涙なしには読めません。上巻までのベスト・オブ・ヒストリアは彼ですね。ゼウス神の神意を信じ戦に破れ、国を亡くした彼は、皮肉なことに神意によって命を救われ続けるのです。ペルシア帝国の臣となった彼は更なる皮肉により、大王キュロスを死の淵へと追いやることになる。セネカ*2の「神意について」もいいですが、「神意」というものの恐ろしさについて最も知ることができるのが「歴史」に記されたクロイソスの生涯ではないかと思うしだいであります。詳しくは自分で読んで確かめてね。