この樹なんの樹ヒデ夕樹
秋は購買欲に駆られる不穏な季節。今日も温くも危険な風に誘われて、こんなものを買ってしまいました。
ヒデタ樹 スーパー・ベスト~海のトリトン/人造人間キカイダー~
- アーティスト: ヒデ夕樹,秀夕木,ヒデ夕木,コロムビアゆりかご会,少年少女合唱団みずうみ,朝礼志,杉並児童合唱団,八手三郎,しのだとみお,林春生,STEREOTYPE
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2005/07/20
- メディア: CD
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「GO、GO、トリットン!GO、GO、トリットン!!GOGOGOGOGO!トリットォーン!!!」(海のトリトン(ゴーゴートリトン)より)とか、
「チェンジィー、チェンジィー、GOGOGOGOォー!GOGOGOゥ!!」(ゴーゴーキカイダーより)など、
兎にも角にもGOづくしです!GOで押し切るその姿は偉大。普通、力技の歌詞を歌う人間は技量がないものだと思われますが、逆です。あまりに明け透けな歌詞はそのあけすけさ故、下手な歌い手だと、聞く人に恥ずかしさを感じさせ、気後れさせてしまいます。しかしヒデ夕樹の朗らか、かつ力強い歌声は力技を更なる高みに導き、人々を陶酔の域へと導きます。
他にも
「日本の平和を守るためぇ暗黒魔人をやっつけろー!!」(風よ光よより)
「人造人間キカイダぁーーーー(息継ぎほぼなし)チェンジィー、チェンジィー・・・」(ゴーゴーキカイダーより)
「たーてイナズマン地を蹴って、地獄ぅのデスっパーぶうぅっとばっせぇー」(フラッシュ!イナズマンより)
これらのパートの独自の息継ぎ、間のおき方、促音*6の表現法はヒデ夕樹だから成し得る表現だと思います。文章では表現できないものなんだな、コレ。書いちゃったけどさ。
これらの技は発声の強弱、明瞭さ、情感の適切な配置などのテクニックがないと成し得ない技なのです。ヒデ夕樹亡き今、その個性を強く伝承しているのは串田アキラでしょうか。渡辺宙明がヒデ夕樹との蜜月の後、後進として串田アキラを選んだのも納得がいくというものです。
その歌唱に酔いしれ、日本歌謡界が失った類稀なる才能を偲ぶ秋の夜長。この一枚は手放せません。