「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」はそこに「ある」

瀬戸内海から帰ってきました。おかえりただいま。
で、遅ればせながら見ましたまなびストレート最終回。感想をアップしますね。

まなびストレート、それは稲森光香のものがたり」
私は以前、こんなことを言いました。
「まなび時空」に引きずり込め!! - マントラプリの生涯原液35度
最終回、「がくえんユートピア まなびストレート!」は稲森光香の旅立ちと共に幕を閉じます。桃葉は専門学校、むつきは実業団、芽衣は大学、そしてまなびはフリーターと高校卒業後の進路を決め、旅立っていきます。その中でも稲森光香、みかんはアメリカへの留学の道を選びました。私は最終回には転校という形でまなびが去ると思っていたのですが、みかんはその想像の上を大きくまたいで飛び出していきました。そう、とおくへとおくへと旅立っていったのはみかんだったのです。
第一話の段階ではみかんは引っ込み思案の普通の少女でした。そこにまなび星人こと、まなびが現れ、みかんと共に生徒会を再建。がくえんを巻き込んで、そこをゆーとぴあへと変えていったのです。そんなまなびと付き合ううちにみかんにも変化が訪れます。
第5話。まなびがおたふく風邪にかかった時、みかんは芽衣とコミュニケーションを取ろうと行動しました。そしてみかんとむつきの友情を描いた第6話が挟まれ、一人で泣いていた過去のみかんが、むつきだけじゃない、多くの仲間を得たことが示されたのです。
決定的にみかんが行動を起こしたのは第9話。ももちゃんの校内放送ジャックによって生徒会室に集まった仲間たち、その前でみかん自身が
「やろう、学園祭やろう」
と言って、みんなの心を一つにしたのです。みかんは、もはや以前のみかんではありません。それが現れるのが11話。まなびに見えていた世界が自分にも見える、とみかんは言います。まなびの楽しみ方、生き方は決して手の届かないものではない。傍で指を咥えて見ているものでもない。それは自分にも見えるものなんだ。それが見えることはまなびになることであり、またまなびになることではない。そう、それは「自分」になることではないでしょうか。人じゃない、自分が世界を変えていける、楽しくできる。まなびの生き方はみかんをみかん自身にしたのです。まなびとは違う、それでいて同じ「まっすぐゴー」の心を持つ稲森光香に。
聖桜学園という5人にとっての「ゆーとぴあ」は終わりました。同じ車窓の風景。「はじまるよー」まなびに始まり、
「ばいばい」みかんに終わる物語。
でも、聖桜学園で築かれた彼らの出会い、友情、そして時間は残り続けるのです。形は無くても。彼ら五人が揃えばいつでも「ゆーとぴあ」に戻れるのです。
五人は、最期、スプレーを持って校舎を駆け回ります。
「でも、ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、一晩ですぐ消えるから」
そう、オープニングの映像は全て終わった後の五人の姿だったのです。つまり「まなびストレート」本編は過去の世界の話なのです。彼女たちが「がくえん」にいたころのおはなし。もう戻れない、ももちゃん謹製のスプレーのように消えてしまった、日々の話。
「ほら ふりむいても もういないよ」
「一晩ですぐ消えるから」
でも、残ってる。消えるからこそ、消えないで「ある」ものがわかるのです。それはそこに「ある」のです。
がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」はそこにあるのです。
これにておしまい。もしかしたら後日「ハイデガーとまなび」というタイトルで書くかもしれませんが、またそれは、それ。