と、いうことで従姉妹の家に泊まりつつ、横溝正史が戦時中に疎開していた岡山県倉敷市真備町岡田に行ってきました。ここでの暮らしは四年におよび、本陣殺人事件をはじめ多くの代表作はこの地で書かれました。本陣殺人事件の舞台は全てこの地の地名、場所が元になっています。ちなみに名探偵・金田一耕助も1946年4月21日にここで誕生しました。

金田一耕助最初の事件・本陣殺人事件。金田一が最初に私たちの前に姿を現したのは、この清音駅でした。アメリカ帰りの彼はパトロンの久保銀造の依頼で殺人事件を解決すべく、この地へと降り立ったのです。ちなみにスタジオオルフェのアニメ「天地無用!」に出てくる銀河警察の刑事・清音(きよね)*1の名前もこの駅から取られています。
ここから高梁川を渡り、土手を下ると古い町並みが見えてきます。これが山陽道の宿場町・川辺宿です。本陣殺人事件の殺人の舞台となる一柳家は元川辺宿の本陣を勤めていた由緒ある家です。本陣殺人事件のネーミングもそこから来ています。

今では本陣跡は歯医者になっています。
では、川辺宿を離れ、殺人の舞台となった川辺町岡田の集落へと足を運んで見ましょう。
川辺宿から30分ほど山に向かって歩くと、謎のほこらが見えてきました。

これは濃茶大権現のほこらです。濃茶(こいちゃ)。どこかで聞いたことがありませんか?そう「八つ墓村」に出てくる濃茶の尼です。「八つ墓さまのたたりじょわぁ〜!!」と、毎回叫んでくれるありがたいばあ様です。
このほこらに祭られている濃茶のばあさまは八つ墓村の濃茶の尼みたく狂ってはおりません。なんでも家老の奥方の病を神社に祈って治したことからここに祀られることになったようです。いろんな濃茶がいるものですね。
そこから徒歩10秒。というか目の前が横溝正史疎開先です。

中に入ったとたん、土地の古老がやってきました。
「ようきんしゃったのう。まあ、お茶でものみなせぇ。」
薄明かりの灯った横溝家旧宅で謎の古老との会合、すわ!殺人事件の発生か!!と私はおののきました。ただし、古老のファッションは帽子にジーンズ。乗ってきた車はケートラでした。でも古老。
次回に続く。

*1:酒豪・天野由梨が演ずるキャラクター。相棒の美星(みほし)のドジをフォローするのにてんやわんやしている