人間漂流記

              お客はちらほら。
                   リドルはたくさん。
               フィナーレはひとつ。

Forest

Forest

ということで、昨日に引き続きライアーソフトのForestのお話。
楽しく苦しく、ヴァイオレンスでエロチシズムなティーパーティーひとまずお開き。
お次の舞台(リドル)は新宿漂流。


主人公たちは漂流している。
人ごみの中、誰にも気づかれずにふわふわと漂っている。
そう、主人公たちは「森」に取り込まれ、森の一部になっている。


周りの人たちからは見えないし、触れられない。
しかし主人公たちは彼らにぶつかると衝撃をモロに受けてしまう。
下手をすれば・・・死ぬ。


そこを抜ければ風化した多重積載都市・新宿が待っている。
何層にも塗り重ねられたミルフィーユのように、ムカシの新宿が横たわっている。
多重であり、単一、単一であり、多重。それが「森」の不思議。
今度のリドルはそんなお話。新宿漂流。


…ガチで、ガチで、ガチでやばいです。この作品!エロゲーがこのような境地に私を導いてくれるとは思いませんでした。いや、「エロゲーが」と言う物言いは何だか失礼ですね。エロゲーなればこそ、なればゆえに辿り着いた世界なのです。森の戯れ、アリスの本気。そんな「リドル」に付き合うためには、こちとら「ギフト」を持たなきゃならない。ギフトは契約。浮気な契約。セックスすれば相手に移る。誰のそばにも寄り添い、そして誰にも溶け込まない。そんな気まぐれ能力「ギフト」。性行為によって「ギフト」の交換が可能というのは、まさにエロゲーでなければできない業(わざ)。ひたすら感服するまでです。
普通の作品ならば、そこにアラを見出したくなります。よい作品ならば、そこに批評という手垢を加えたくなります。
でも、傑作は。ああ、そう、傑作は。ただその隣に横たわって、おんなじ空気を吸えるだけで幸せなのです。この作品をやってる自分が、BGMのバグパイプの音に揺られ、考えて、起きて、寝る。それが幸せなのです。