緋色の向日

緋色のむこうになにがある。
花飾り頭に抱き、赤き血潮体に廻らし、血しぶき皮表を伝わらせても、未だに赤には、緋には非ず。
赤という名、名により生まれ、なによりそのもの。そんな壷中の天地を求め、野をさすらい、地にさぶらい、宙を見る。
己が生み出したものは、己よりもっとも遠い。何故ならその遠さがわかるから。人は人が生み出したものには永遠に歩み寄れない。それでも、もし、緋色に近付かんと、欲すれば、
己が人を、棄てるしか、ない。