朝起きたら、私は私の知らない人になっていました。トイレに行くのも、食事を食べるのも、欲望を発散させるときも、絶えず不愉快です。だって、この私は私ではなく、私の知らない私なわけです。そんな人の生理行為に付き合うのは不愉快極まりない、イヤホント。でも、これは私らしいので、この動く体は私のものらしいので、我慢。これがまだ異性の忘れた私であったなら、まだそれ我慢はできたものを。ああ、記憶喪失、いや心体喪失とは書くも不自由なものなるか。
もし自称記憶喪失ってやつが、自分の生理行為を嫌悪感なく、平然と行ってたら、私は疑うね。心が、いままで培った心が空っぽになるのなら、今まで培った己の生理に対する感覚も失うはずでは、ないかな。