小林一三づくし

阪急電鉄100周年、小林一三没後50周年のこの年。その業績を偲ぶべく、大阪府池田市を訪れました。
前回の記事はコチラ。
大大阪と私鉄と小林一三と - マントラプリの生涯原液35度

池田は阪急電鉄がまだ箕面有馬電気軌道だったころからの拠点の一つでした。日本最初の分譲住宅・池田室町住宅は池田駅の西南に位置します。歩いて30秒ほどです。こちらは後ほど案内します。まず私が向かったのは池田文庫でした。

池田文庫は現在阪急電鉄100周年記念の展示を行っています。
http://www.ikedabunko.or.jp/
中には阪急の100年の歴史を彩るポスターや池田室町住宅の分譲地見取り図、歴代ラガールカードの展示など見所がたくさんです。私が特に心引かれたのは大阪梅田駅の変遷図でした。
今の梅田駅はJR大阪駅の北に位置しますが、開業当時はJRの線路をまたいで南に位置していました。今では分断されている阪急百貨店にくっついていたわけですね。それがJRとのクロス問題や車線の拡張により、北側へと移動していくことになったわけです。この変遷が実に面白い。「梅田と共に阪急あり」といったかんじです。
次に向かったのは逸翁(いつおう)美術館です。

逸翁は小林一三の雅号です。この美術館は小林一三が生前に住んでいた洋館・雅俗山荘(がぞくさんそう)をそのまま美術館としたもので、氏の生前のコレクションが茶道具を中心として展示されています。氏の没後すぐに開館されたことから、こちらの美術館も50周年に当たります。そんなこんなでこちらの展示も50周年記念名品展でした。今年はつくづく小林一三です。
館蔵品中、選りすぐりのものばかりが集められていますが、私のお気に入りはなんといっても「大江山絵詞」です。これについては昔ブログで触れました。
われ再び - マントラプリの生涯原液35度
酒呑童子関連の最古の絵巻物が逸翁美術館所蔵のコレで、室町時代あたりに描かれたものと考えられます。そのほかに有名なものとしては「佐竹本三十六歌仙絵巻」の断簡があります。秋田藩主佐竹家に所蔵されていたから佐竹本。コレに関しては有名な話がありまして、当初は一続きだったこの絵巻を、その落札価格のあまりの高さから益田孝(鈍翁)をはじめとした人々によって断簡とされ、それぞれを入札したという背景があります。ですんで佐竹本三十六歌仙はいまでも全国に散らばっております。ちなみに今話題の吉兆の湯木家も所蔵しております。
コチラが詳しいです。
http://homepage2.nifty.com/seigakudo/satake.htm
小林一三という一人の人間に興味があり、かつ美術作品にも興味がある私には、小林一三が集めたコレクションを、小林一三が創設した電車に乗って、小林一三の自宅に見にいくというシチュエーションがたまらないものとなります。「ゆりかごから墓場まで」みたいな気分ですね。(ちょっと違う)
明日は室町住宅について取り上げます。