クラハオノレカ オノレハクラカ

腐り姫

腐り姫

蜘蛛は糸を張り、巣を作る。
人は意図で縛り、家を造る。

それは世界を広げる行為か?縮める行為か?

時は世界を広げるか。
時は己を広げるか。

時を重ねれば重ねるほどに、世界と自分の差は縮まる。
親と自分の年齢差が縮まりゆくように。

ならば時を重ねれば重ねるほど、宇宙は、世界は、家は狭く、タイトになっていくのではないか。
そう、己が大きくなれば、悠久の時を刻むほどのキャパシティを以ってそこにあり続ければ、世界の身の丈に追いついてしまうことも、ある。

それは自由でありながら、不自由。満天の空の下の、牢獄。


だから人は女をこう呼ぶ。蔵の女・蔵女(くらめ)。
世界は蔵の中の牢獄。