アイドル番長揃い踏み

最近読んでる漫画の新刊が出ました。

金剛番長 2 (少年サンデーコミックス)

金剛番長 2 (少年サンデーコミックス)

この漫画、東京二十三区を統括する「番長」たちが、日本の派遣をかけて陣取り合戦をするという壮大かつミニマムなお話です。
主人公の金剛番長こと金剛滉(こんごうあきら)は番長によるパワーゲーム・二十三区計画を阻止するため、多くのイロモノ番長たちと戦いを繰り広げます。
二巻での相手は、念仏番長*1、剛力番長*2、そして卑怯番長*3の三人です。
連載誌の少年サンデーでは、上記の番長と、一巻で敗れた居合番長の四人がアイドル番長*4として、金剛番長の味方となって登場します。したがって二巻までを購入すれば、現在の連載の流れにもすんなり追いつけます。(なんか、おんなじ薦め方を今月の大法輪でもしたような…)
少年漫画の定石として、苦戦を強いられた強敵こそが、後の心強い味方となる。いわゆる「強敵と書いて『トモ』と呼ぶ」理論がございます。金剛番長でいえば二巻の段階までに戦った番長たちが、この「強敵(トモ)」の範疇に入ります。
しかし、この「強敵(トモ)」。いいことばかりではありません。「強敵(トモ)」は味方になった途端、極端に弱体化します。そう、これを私はテリーマン理論」*5と呼んでいます。
あれだけ強大な、敵として立ちふさがったはずのキャラクターが、いざ味方にした途端弱体化する。RPGで言えば、四人がかりで倒して味方にしたはずの強敵(トモ)のステータスが、敵として戦ったときよりもガクンと下がるのと同じ理論です。「オマエ、昔はHP10000以上あったやんけ!!」と、突っ込みを入れたくなる気分のアレです。
過去、多くのキャラクターたちが「テリーマン化」を避けるために努力してきました。テリーマン本人も、超人タッグトーナメントにおいてキン肉マンと袂を分かち、ジェロニモとタッグを組みます。サスケはナルトやサクラののもとを去り、今ではナルトよりも主役に近い位置にいます。フェニックス一輝は最初から馴れ合わず、ラスボス戦や、副ボス戦など、肝心なときに美味しい所をさらう「漁夫の利属性」を身に着けました。…ヤムチャは結局なすすべがありませんでした。
かように少年漫画においては「強敵(トモ)」の「テリーマン化」とその「対策」は重要な案件になってきます。そう、対策を立てずにほうっておけば「強敵(トモ)」たちはどんどん劣化していってしまう。アイドル番長軍団を劣化させずに、いかに保っていけるか。これからますますインフレーションが進んでいくであろう「金剛番長」において、鈴木央に課せられた最大の課題ではないでしょうか。*6
次回は、なぜ強敵(トモ)が「テリーマン化」するのかを、下記の著作に基づいて考えてみたいと思います。

*1:僧侶な番長。宗教教団を作り、オリジナルグッズを売りつける

*2:お嬢様なパーシバル女番長。チャンコを喰い、巨大な鉄球を振り回す

*3:卑怯な番長。「正々堂々、卑怯に戦う」がモットー

*4:キン肉マン」七人の悪魔超人編に登場した正義超人たちを指す「アイドル超人」が元ネタと思われる

*5:ヤムチャ理論、阿散井恋次理論など、それぞれの好きな名前で呼んでいただいてかまいません

*6:そう考えると多くのキャラクターを劣化させずに(大豪院邪鬼やファラオの身長は縮んだが)、最後まで並列させ続けた「男塾」とは不思議な漫画であったよのう