るりぽえむ

瑠璃の中には宇宙がある。
拡散し、ギネスビールのように寄せては返る銀河の波が。
瑠璃の狭間に漂って、波紋を無間にかたちどる。
瑠璃の中には空がある。
ウルトラマリンに千切れ雲ひとつ。
どこへ行くでも、来るでもなしに。
瑠璃の中には海がある。
手で掬うたび、色が溶け出す、スペクトル。
凝固し、その蒼、留め置く。
瑠璃の中には、夢がある。
とおいいにしえバビロニヤ。その神像の、玉眼に。
ひめしまなこは、青い夢。
瑠璃の中には、私がいる。
光にかざした青い珠、そこにゆらめく影一つ。
珠に交わりし、影一つ。
瑠璃の中には瑠璃がある。
空を一巡、時を一巡、巡った後に、戻り来て、
瑠璃はまったき、まま青き瑠璃。