河童の三平の方法論

只今、東映特撮BBでは「河童の三平」が公開中です。皆さん、この機会に是非、この傑作を御覧になってください。

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この作品、1968年の10月〜1969年3月までの約半年間に渡って放映されました。原作は水木しげるです。主人公の河原三平を演ずるは金子吉延。それを助ける河童・六兵衛。演じるは牧冬吉*1。そう、この二人「仮面の忍者赤影」の青影と白影なのですよ。
仮面の忍者赤影」は1967年4月〜1968年3月までの一年間放映されていた本邦屈指の特撮です。忍者バトルです、平気で空を飛んだり、マシンガンをぶっ放したり、バテレンが日本の地下に作ったトロピカル王国がUFOに蹂躙されたり、新興宗教の巨大なご本尊*2比叡山の僧兵や足利義昭と戦ったりします。必見です。
時系列を見てもらえればわかるように、この作品が終わった後、人気を博した二名を主演として始まったのが「河童の三平」なのです。そしてこの特撮には1970年代初頭に最盛期を迎える東映特撮を構成するあらゆる要素の原初的段階が見られます。
そう70年代の東映特撮のフォーマットは「河童の三平」によって準備されたのです。
まず「少年主人公」という要素です。これは「鉄人28号」、「少年探偵団」や「悪魔くん」など、前代の東映特撮にも見られます。「河童の三平」も金子吉延を主役に配することでその系譜を受け継いでおります。60年代東映特撮の原作は手塚治虫水木しげる横山光輝が中核を担います。これは70年代の石ノ森章太郎の一人勝ちの状況とは一線を画しております。面白いlことに60年後半の特撮を代表する子役である金子吉延と、金子光伸(ジャイアントロボの草間大作役)はそれぞれ水木、横山原作に主演しておりますが、
金子光伸…1966年・悪魔くん(水木原作)→1967年・ジャイアントロボ(横山原作)
金子吉延…1967年・仮面の忍者赤影(横山原作)→1968年・河童の三平(水木原作)
このように、それぞれ原作に出る順番がスクランブルしているんですね。ええ、まあ、ちょっとしたことなんですけど。70年代になり、少年が主役というケースは減少していくのですが、その役割の重要性は引き継がれ神谷政浩(キカイダーマサル大鉄人17の三郎)、三浦康晴(仮面ライダーの石倉五郎役)*3、川口英樹(帰ってきたウルトラマンの坂田次郎。仮面ライダーV3の珠シゲル)などが担っていきます。
次に「妖怪路線」です。東映特撮は大きく科学路線と妖怪路線の二種類に分けることが出来ます。科学路線は手塚治虫の「マグマ大使」や横山光輝の「ジャイアントロボ」から派生した作品群で、ロボット刑事キカイダーなどのメカやイナズマンなどの超能力モノが該当します。登場する敵も機械やアンドロイド、エスパーになります。仮面ライダーも厳密に分類すればこちらに入ることになります。
妖怪路線は水木しげる原作より派生していった作品群です。こちらは「敵」に特色があり、西洋の悪魔や日本の妖怪など、民話や伝承に語られる生き物が敵として出てきます。水木しげるの影響が色濃いのです。こちらには変身忍者あらしや白獅子仮面、アクマイザー3。そしてキカイダー01が入ったりするのです。
この妖怪路線のフォーマットが完成したのが「河童の三平」です。まあ、悪魔くんで大体は完成しているんですが、ね。ちなみに「河童の三平」の方法*4を直接に受け継いでいるのは「キカイダー01」だったりします。レインボーマンもちょっと似たところがあります。
他の要素としてロードムービー的展開。コメディリリーフ。オープニングでの惨殺。がありますが、こちらはまた次回「伊上勝の方法論」と絡めて述べさせていただきます。今日はこのへんで。

*1:怪傑ハリマオの敵役で脚光を浴び、名脇役となる。金子吉延との和気藹々としたやり取りを見ていると、本当にやさしそうなおじさんだと感じる。月光仮面で刑事役をやりながら、後にドクトルオーヴァやモンスター教授と敵役一筋になってしまった安藤三男とは逆路線

*2:金目さまとか、ビッグゴールドとか名称色々

*3:私はね、仮面ライダー(2号)の人気を支えていたのは石倉五郎だと思ってるんですよ、マジで

*4:着ぐるみがあまり出せないのでショボくごまかす。女性にメーキャップして「妖怪」と言い張ったりする