やいばをとぐとぐ

かたなをとぐにはかたなをしらねば、かたなし
倭刀を先端から語ろう、そここそが戦端を開くのだから
倭刀の先にはぼうしがある。頭なだけに。
でも、帽子じゃない、鋩子(ぼうし)だ。烏帽子ににている。
ちなみに鋩だけで、きっさきとよむ。

鋩子に下から割り込んでくるひとすじの筋。それが鎬(しのぎ)だ。
「しのぎを削る」の語源だ。
刀の本体は、しのぎによって縦に二つに区分される。
いわば、刀の正中線。その鋩子に食い込んだ部分を小鎬(こしのぎ)と言う。

倭刀は弯刀(わんとう)だ、屈曲している。背をそらせて怒っている。
胸を怒らせ歩くのだ、但し、刀のむねは背中にある。
反っている部分を棟(むね)という。家のてっぺんに鎮座しているアレだな。

では、その反対側、腹の部分は刃(は)という。刀の命だ。
ここで人を咀嚼せねば、刀の光も、武光におなじ
刃に浮かび上がる波間。ジグザグ小路。それは刃紋(はもん)。
刀をめでる際の、最重要ポイント。刀が火によって着飾る。

雪のような正宗・相州鍛冶。腸壁のような長船・備州鍛冶。
みなそれぞれのタマシイが、一筋の線を描く、刀の心電図。
それが刃紋。

刃と棟の間が地(ぢ)。刀のボディ。
鎬を挟んで棟がわが鎬地(しのぎぢ)。刃側が地(ぢ)。

刃の部分はセンシティヴ。だから掴む部分は茎(なかご)。
植物の茎(くき)と同じ字なのは、そこを人が掴むからだ。
刃ではなく、葉ではなく、茎を掴んで、花めでる。刃をめでる。
パーツの名称はおおまかにこんな感じ。