ある日

あるひ、森のなか、熊さんに、であった。
はなさく森のみち、熊さんに、であった。


くまさんの言うことにゃ、お嬢さん、お逃げなさい。



なんでもいいから、お逃げなさい。
ここからどこかへ、お逃げなさい。
かえりみちなんて、気にしてはいけない。
もともと家なき、三界火宅。
われわれは、どこから来たかはわからない。
それなのに、いつも気にするのは、うしろばかり。
ただ、決められるのは、これからいく道だけだというのに。
どこにいくのかわからない、そのみちだけだというのに。
すたこらさっさっさのさ、すたこらさっさっさのさ。


そういったのさ。