夢のように

寝る前に、腹ごしらえをしている。
夢を見るために、食べている。
獏だ。漠とした、縛された、獏。

息するために生きている。愛するために人である。縛られるためにここにいる。
のっぺりとした肌は薄ピンク色、世界は美しい、生きることに価値はある。

だからこそ、夢の中で生きている。夢見るために、ゲーティーグわたる。
夢は逃げるために見るものじゃない。己の首を絞めるために、見るものだ。

夜の夢こそまことと言った、とある作家も
櫻と己がこんがらがった、あの人も
そういう夢を、梁に掛けた。そうした夢で、浮世を駆けた。
意志一身に、夢に縊死した。

それしかまことはないじゃないか。まことは獏に、こそやどる。