わざとらしく、いこう2

私はわざとらしく生きたいのです。
私はラピスラズリの、中に瞬く金色の浪が好きです。
日本刀の、豪雪地帯を拐う風のような刃紋が好きです。
もっさりと盛られた桧皮葺が、チョコケーキみたいで好きです。
マテリアルそのものを愛するこころありながら、なお、わざとらしさにこそ奉仕したく思います。
曼殊院の、空間を埋める作為が好きです。
黒澤明の撮る、あくなき作為の堆積が好きです。
蒔絵手箱の、密集した、抽象と具象の、逃れようのない密閉世界が好きです。
無為自然は人力には不可能です。無為は不自然です。暖炉がある時代に、わざわざ火をくべるのは不自然です。無念夢想は不自然です。いや、むしろ、極めて人工的か。道家が法家に繋がったのも、むべなるかな。
意図に乗り、意図に流されるマリオネットこそ、目に見えぬウェブ(糸)に奉仕する姿こそ。動物ではない人のありかたへと近づく、自然な営みだと、思います。
マテリアルを愛するのも、次なる不自然のため。自然を愛するのも、次なる不自然のため。
不自然という、人類のフロンティアのために。