2009-12-21 蟻おりはべり ある日、蟻を、見てました。 とてもちいさな蟻でした。 蟻より小さい蟻でした。蟻を摘まんで手に乗せて、 掌の臺(しょうのうてな)の小ホール、 小粋な踊りをさせました。たらたらたららと踊る蟻。 胡麻よりちいさきその頭。 砂よりちいさきその瞳。 つらつらつらと津々浦々、 蟻頭蟻尾(ぎとうぎび)の八十四州、 へめぐりこもくりするうちに、何時しか手の先指の先、 遥か彼方の蟻の角、 その突端の宗谷の岬ひとり佇む芥子の我。 そこでも蟻を、見てました。 やっぱり小さな、蟻でした。